男性不妊に漢方薬

2021.3.3

日本では不妊に悩むカップルは5.5組に1組いると言われています。

不妊というと女性が中心になることが多いですが、不妊の原因は男女共にあるためカップルで検査・受診することが大切になります。

不妊症の原因の48%が男性側

WHOが行った不妊症の原因調査では、不妊カップルの内、不妊の原因が女性のみが41%、男性のみが24%、男女両方が24%、原因不明が11%という割合でした。

不妊カップルの48%は男性に原因があることになります。

 

男性不妊の原因

男性不妊の原因の8割以上は、精子を作り出す機能に問題があって上手く作ることができない造精機能障害になります。

造精機能障害:精子をたくさん作ることができない・・・ 82.4%

性機能障害:EDなどで性行為ができない・・・13.5%

精路通過障害:正常に精子が出てこない・・・3.9%

 

精液の異常では精子減少症、精子無力症、無精子症、精液不液化症、奇形精子症、精子死滅症、抗精子抗体による免疫異常など

性機能障害ではED、早漏、遺精、逆行射精など

器質性疾患では先天性無睾丸症、睾丸発育不全、睾丸萎縮、輸精管閉塞など

 

男性不妊の8割以上を占める精子減少症、精子無力症、無精子症といった造精機能障害ですが、そのうち約42%ははっきりとした原因が分かっていません。原因のわかるものでは精索静脈瘤が約30%と一番多くなっています。精索静脈瘤は手術により約7割ほど改善が見込めます。

 

診断方法

もっとも重要な検査は精液検査です。

採取した精液の液量、濃度、総精子数、運動率、奇形率などを調べます。

体調によって結果が変化しますので検査は原則2回行います。

また、内分泌学的検査でホルモンの値を調べることもあります。

 

検査の基準値(下限値)になります。

精液量:1.5mL以上、pH:7.2以上、精液濃度:1500万/mL以上、総精子数:3900万/mL以上

精子運動率:40%以上、精子正常形態率:4%以上、精子生存率:58%以上、白血球数100万/mL未満

 

中医学(漢方)では

大きく4つの原因によって不妊症を引き起こすと考えています。

1.精気不足

2.気血両虚

3.湿熱傷精

4.瘀血阻滞

 

1.精気不足・・精力減退、性欲低下、ダルい、舌色は淡く苔は白く薄い

先天的に(産まれもって)精気の不足、胃腸が弱くなり栄養が上手く作られない、過労、過度の性生活によって腎にある精や気を消耗しているため精液精子が減少、精子運動率の低下、EDなどになる。

 

2.気血不足・・元気がなく疲れやすい、性欲低下、不眠、軟便、朝起きれない、舌色は淡く苔は白く薄い

先天不足、ストレス等により胃腸が弱り気血が上手く作られない。精血同源により精に転換することができず精液精子が減少、精子運動率の低下、EDなどになる。

 

3.湿熱傷精・・舌苔が黄色く厚い

過度の飲酒、脂っこいもの、甘いものを過食することで体内に湿熱(体を害する余分な水分に熱が加わったもの)が溜まる、またはサウナや熱い温度の長風呂など外からの湿熱の影響を受けて精液が薫蒸して精液精子が減少、精子運動率の低下、精液不液化、膿精子症、奇形率が上昇する。

 

4.瘀血阻滞・・舌が暗紫色、舌に暗いシミがある

生活習慣、ストレス、長い病気、寒熱の影響で瘀血(汚れたドロドロした血)ができて経絡を塞ぎ精液精子の減少、精子運動率の低下などになる。

 

それぞれのタイプにあった漢方薬を使うことで体全体を調整していきます。

(参馬補腎丸、海精宝、亀鹿仙、冠元顆粒など)

また、精子の質をよくしたり生活改善のために健康食品を使うことも多いです。

(ワタナベオイスター、バイオリンクなど)

 

予防法

・ストレス発散

・適度な運動

・ミネラル、ビタミンなど栄養バランスのよい食事

・夜更かしをやめてしっかり睡眠時間をとる

・長時間のサウナや熱い入浴は控える

・きつい下着や服装で精巣を締めつけない

・自転車やバイクに長時間乗らない

・膝の上でパソコンしない

・過度の飲酒を控える

・1週間以上禁欲しない

・ぜったい禁煙!

精子は体調やストレスによって大きく影響を受けるので、普段から生活習慣を整えておく必要があります。

精巣は体温より2~3℃低い状態がベストです。精巣を温めすぎると機能が低下するので注意しましょう。

発毛剤などある種の薬物も精子所見は悪化します。

タバコは精子に直接ダメージを与えるだけではなく、パートナーの妊娠や胎児にも悪影響なので禁煙をオススメします。最低でもパートナーの傍で吸うのはやめましょう。

 

 

不妊の原因の約半分は男性に原因があります。まだ検査をしていないのであれば一度検査を受けてみましょう。

ふだんの生活習慣を改善して、漢方薬や健康食品を使っていくことで検査の値がよくなることが多いです。

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