メニエール病は、回転性のめまい、耳鳴り、耳閉塞感などの症状が繰り返し起こる疾患です。
めまいは、グルグルした回転性が多くみられますが、ふわふわした浮動性の場合もあります。
めまい発作は通常、数分から数時間で治まり、随伴する耳鳴りや耳閉塞感なども同時に治まります。
しかし、めまい発作が何度も繰り返し起こるようになると、めまいが改善された後でも耳鳴りなどが残る場合があります。
メニエールの難聴は、はじめは片側の耳に低音域の聴覚低下がみられます。罹患期間が長期化してくると、中~高音域にも聴覚低下が出たり、反対の耳にも症状が現れたりします。
原因
メニエールは内耳にあるリンパ液が過剰に溜まる『内耳リンパ水腫』が原因で起こります。
しかし、なぜ内リンパ液が過剰になるのかは、西洋医学的には今のところよくわかっていません。
睡眠不足、疲労、ストレスなどが誘因となることが多く、天候や気圧の影響もあると考えられています。
治療法
めまい発作が起きている時は、横になって安静になります。
抗めまい薬、制吐薬、利尿薬、ステロイド薬、抗不安薬など内服治療を中心に改善を図ります。
重症時には点滴や注射の使用、内耳へ薬を注入、外科手術などを行う場合もあります。
最近では、腎臓や心臓疾患のない方には水分摂取療法を奨める場合もあります。これは内耳のリンパ液が溜まるのは抗利尿ホルモンのバソプレシンが過剰に出ているという説からです。抗利尿ホルモンのバソプレシンは、尿の排出量を減らすホルモンです。水を十分に摂ることでバソプレシンの分泌が抑えられるという考えから、1日に一定量の水を摂取する療法になります。しかし、水をたくさん飲むことは時に害になることがあり、かえって体調を悪くすることがありますので、必ず専門医の指示に従って行いましょう。
メニエール病に漢方薬
メニエール病は、中医学では眩暈(げんうん)の一つとして考えます。
眩暈に含まれる症状の範囲は広く、メニエール、高血圧、貧血、自律神経失調症、脳血管障害、眼科疾患などによるめまいは、眩暈の弁証論治を適用することができます。
眩暈の病因として、肝陽上亢、腎精不足、気血不足、痰濁中阻、瘀血内阻などがあります。
メニエール病は、内耳リンパ液が過剰になるという点では、痰濁中阻(たんだくちゅうそ)が主な原因となりえます。
痰濁とは体に害をなすベットリした汚れた水分のことで、程度により痰や湿、またはあわせて痰湿(たんしつ)などと呼びます。
この痰湿が経絡の流れを阻害して、気血が脳に届かないためにめまいが起こります。
日本漢方では『水毒』とも言います。水毒と言うと体内の水が過剰になっていると考えがちですが、どちらかというと体内の水分が偏在している(偏りがおきている)状態です。水分が過剰な部分と足りていない部分とで偏りが起きているので、その偏りをなくしてバランスをよくする必要があります。
痰や湿を取り除く漢方薬や、水分代謝を改善する漢方薬を使用します。
また、ストレスで悪化する場合には、ストレスを発散させるような漢方薬を合わせたり、疲労で悪化する場合には、元気をつけるために補気する漢方薬を合わせたりします。
西洋薬の利尿薬は、排尿促進作用が強力ですが、体液が少ない状態であっても排尿促進され続けるところに問題があります。また、体液の偏りは利尿薬だけでは改善しないこともあります。体液の偏りを改善するには漢方薬が必要になります。
そして、前述した水分摂取療法について、中医学でみると必要以上の水分摂取は、脾胃(胃腸、消化器系)を傷めて体調を崩してしまう原因になります。そのため、水分摂取療法をする場合は、漢方薬を併用した方がよいのではないかと考えます。
メニエール病の養生
めまい発作を予防するためには生活習慣の見直しも大切です。
めまいの原因の一つである痰湿が作られるのは脾胃(胃腸、消化器系)になります。
元々、胃腸が弱い方は痰や湿を作りやすい体質と言えます。
また、飲食の不摂生によって胃腸の働きが低下してしまっても、痰湿は作られやすくなります。
脂っこいもの
甘いもの
味の濃いもの
冷たいもの
これらは脾胃を傷めて痰湿を作りやすくしますので、過食は控えましょう。
飲酒や喫煙は痰湿と瘀血(ドロドロ血)を作るのでなるべく控えましょう。
そして、
・睡眠時間をしっかり確保する
・過労しない
・ストレスを溜め込まない
睡眠不足、疲労、ストレスは発作を誘発させる原因ですので、できるだけ改善しましょう。
趣味の時間を楽しんだり、スポーツで汗を流したりするのもおすすめです。気持ちにゆとりのある生活を心がけていきましょう。
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