不眠症に漢方薬

2020.5.16

「眠ろうとしても眠れない」「眠りたい時に限って眠れない」

誰でも一度は不眠の経験した事はあるのではないでしょうか。

心配事がある時、大事なイベントがある前日、旅行先の寝具がしっくりこない・・など眠れなくなる原因は様々あります。しかし、通常であれば数日~数週でまた眠れるようになります。これは不眠ではありますが不眠症とはいえません。

 

不眠症とは

・睡眠障害がしばしば(週2回以上)みられ、1ヶ月以上続いている。

・不調により日中に支障をきたしている。

この2つの症状があるときに『不眠症』と診断されます。

 

不眠での不調

日中に倦怠感・集中力低下・意欲低下・抑うつ・めまい・食欲不振など不調が出てくるようになります。

 

不眠のタイプ

4つのタイプがあります。

入眠障害・・なかなか寝つけず2時間以上かかる

中途覚醒・・睡眠途中で2回以上、目が覚めてしまう

早朝覚醒・・いつもの2時間以上前に目が覚めてしまう

熟眠障害・・グッスリ寝た満足感が得られない

 

日本人は不眠が多い

日本人の睡眠調査では5人に1人が何からの不眠があるという結果があります。

不眠は年齢とともに増加し、60歳以上では3人に1人が不眠で悩んでいます。

また、病院などに通院している方の20人に1人は睡眠薬を処方されています。

不眠はまさに国民病とも言えますね。

 

女性の睡眠障害

女性は月経、妊娠、出産、閉経といったホルモンの変化が大きいため、その影響は睡眠にも現れます。

月経前の日中の眠気、妊娠中の眠気や不眠、産後の睡眠不足、更年期の不眠などがあります。

 

高齢者の睡眠障害

年齢とともに睡眠も変化していきます。とくに持病のない方でも睡眠は浅くなり、中途覚醒や早朝覚醒は増えていきます。

若い頃にくらべて早寝早起きになるのは、年齢に伴う体内時計の変化によるもので、早朝覚醒になること自体は病気ではありません。また、眠れる時間も年齢とともに短くなっていき、眠りも浅くなるので尿意や物音で起きやすくなります。ある程度であれば年齢によるものとして許容していくことも大切です。

 

不眠症の治療

不眠になる原因は様々です。睡眠時無呼吸症候群など疾患によるものであればその治療を行う必要があります。

また服用薬によっては睡眠障害の副作用があるので代替薬を検討することも必要です。

20人に1人が睡眠薬を処方されている現状をみると睡眠薬による薬物治療がメインと言えます。

薬物療法以外には認知行動療法や生活習慣の改善など非薬物療法も併用します。

 

不眠と漢方

漢方(中医学)では、眠りを陰陽バランスで考えます。

『陽』は活動的な状態で、『陰』は落ち着いた状態をさします。夜になると体の陽が陰に入ることで眠りにつきます。

陰陽バランスが崩れたり、陰に陽がスッポリと入りきらなかったり、体に余計な老廃物などが邪魔をしたりして眠りが妨げられていると考えます。

不眠には、体質(タイプ)にあった対応をしていきます。

主なタイプとしては

1.ストレスによるもの

2.気血の不足

3.腎の弱り

4.食事の不摂生

1.ストレスによるもの

過度のストレスがかかると五臓の『肝』の働きが低下します。肝は、体のエネルギーである『気』の巡りをコントロールする働きがあります。ストレスにより肝がやられて気の巡りが停滞すると、熱がこもって火照り、イライラ、怒りっぽい、憂うつなどの症状が出てきます。結果、なかなか寝付けなくなる入眠障害になりがちです。

このタイプは早い段階でこまめにストレスを解消したり、リラックスを心がけましょう。

酸味のある食材、柑橘類、香りの強い野菜は気の巡りをよくしてくれます。リラックスできるハーブティーもいいですね。

気の巡りをよくしたり、気持ちを落ち着かせる漢方薬や健康食品を使います。

 

2.気血の不足

漢方での『血』には精神を安定させるという働きがあります。血が十分にあれば精神は安定して質の良い睡眠がとれます。また、血が不足すれば精神的に不安定になり、不安感、動悸、めまい、眠りが浅い、夢を多く見る、熟睡感がないなどの症状が出てきます。とくに女性は血を消耗しやすいので気をつけましょう。

スマホやパソコンの見過ぎ、考え事や悩みが多いと血は消耗していきますので注意しましょう。

黒い食材や赤い食材は血を増やすものが多いのでオススメです。鶏肉、レバー、牡蠣、ほうれん草、小松菜、トマト、人参、クコの実など

血を補う漢方薬や牡蠣エキスなどの健康食品を使います。

 

3.腎の弱り

腎は成長、発育、老化に関わる『精』を貯蔵する臓器で年齢とともに働きは低下していきます。腎の働きが低下すると不眠、夜間頻尿、腰痛などいわゆる老化症状が出てきます。

年齢とともに早朝に目が覚めてしまうのは腎の弱りとも考えられます。40歳以降は腎を意識した養生がとても大切になります。

腎は冷えを嫌いますので体を冷やさないように注意しましょう。

黒い食材がオススメです。黒ゴマ、黒豆、黒米、山芋、くるみなど

腎を補う漢方薬や健康食品を使います。

 

4.食事の不摂生

暴飲暴食は胃腸に負担をかけるため消化不良が起こります。消化不良を起こすと胃に長時間、食べ物が残る状態になります。胃がムカムカして、もたれている状態ではなかなか寝付けませんし、眠れたとしても睡眠の質は、かなり低下して熟睡感が得られにくくなります。

暴飲暴食がなくても夜遅い時間の食事は胃に食べ物が残るため、同じように睡眠の質は低下します。夕食はできれば寝る3時間前には終わるとよいでしょう。夕食が遅くなってしまう時は、なるべく脂っこいものは控えて、消化のよいものにしましょう。

消化を助けて脾胃の働きをよくしたり、体に余計なものを溜めないようにする漢方薬や健康食品を使います。

 

眠りの養生

まず睡眠環境や生活習慣を見直すことがいちばん大事です。できるところからやってみましょう。

・不規則な生活リズムはできるだけ減らして整える。

・昼は活発によく動き、夜は安静にして生活にメリハリをつける。

・日中、眠い時の昼寝は15時までに20分程度。

・夕方以降のカフェイン摂取は控える。

・暴飲暴食はせず腹八分目、夕食は早めに済ませる。

・寝る1時間以上前に入浴で体を温める。

・寝酒はしない。(かえって眠りが浅くなります)

・寝る前に喫煙しない。

・寝る前の運動は控えてストレッチ程度に。

・寝る前にパソコンやスマホは見ない。

・寝る前に考え事はしない。

・寝る時は部屋を暗くする。

・寝る部屋の温度や湿度を快適にする。

・朝に起きたら太陽の光を浴びる。

 

あまり睡眠にこだわりすぎないで

あまりにも睡眠にこだわりすぎても、それがストレスになり、かえって不眠に繋がってしまうこともあります。

そもそも睡眠は、脳と体を休めて疲労を回復することが目的です。

ですから『グッスリと○時間以上は眠れる』といった睡眠を目標にするのではなく、『日常生活で支障なく活動できるくらいに疲労がとれている』というのに着目したほうがいいですね。

 

当店では、不眠症に対してその方の体質にあった漢方薬や自然健康食品を使っています。

不眠症でお悩みでしたらLINEまたは予約フォームよりご相談くださいませ。

ご遠方の方はお薬をご郵送できます。(ご郵送についてはコチラをご覧ください)

 

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