「人は血管と共に老いる」
これは19世紀のある内科医の有名な言葉です。
ここでいう血管とは『動脈』を指しています。
たしかに全身に酸素や栄養を運ぶ動脈は、血管の中でも一番太く、切れたり途中でつまったりしたら命に関わるので大事ではあります。
しかし、現代では健康のためには『毛細血管』の方が注目されています。
毛細血管について
毛細血管は、動脈と静脈の間を網目状に繋いでいる血管で、直径は約100分の1㎜と髪の毛の10分の1ほどで、赤血球が1列に並んでやっと通れるくらいの細さしかありません。
全長9万9千㎞、全部を繋ぐと地球2周半という長さで、血管の面積比は動脈:1、静脈:2に対して毛細血管:700-800となり、血管全体の99%を占めていています。
毛細血管の重要な働き
①約37兆2千億個の細胞の一つ一つに酸素と栄養を運び、二酸化炭素と老廃物を回収しています。
②免疫物質を運搬し、また毛細血管の内皮細胞からも分泌して、体を病気や感染から守っています。
③ホルモンを運搬して各器官へ情報伝達します。
④体温を一定に保ち調節します。
よく知られている動脈と静脈は血液を運ぶことがメインであるのに対して、毛細血管は、酸素、二酸化炭素、栄養、老廃物といったものを細胞と直接、物々交換している最前線になります。
この毛細血管と細胞間でのやりとりを行う一連の流れを『微小循環』といい、まさに命のやりとりを行う超重要なシステムになります。
毛細血管の減少は様々な不調や病気の原因に
こんなに重要な毛細血管も加齢によってだんだんと減ってしまいます。
健康な毛細血管の内皮細胞は1000日くらいで入れ替わりますが、40歳代くらいから新陳代謝されずに死んでいく細胞が増え始めます。そして、60歳代になると毛細血管の数は4割も減ると言われています。
また、生活習慣病も毛細血管の劣化を早めてしまいます。
最近では、『ゴースト血管』も話題になっていますが、血管はあるのに血液が流れていない血管を言います。使われない血管はやがて脱落して、なくなってしまいます。
また、自律神経やホルモンの働きが乱れることも毛細血管を劣化させて減る原因になります。
毛細血管が一部減っても、周辺の毛細血管によってサポートされるため、すぐに命の危険になることはなく、気づきにくいですが、微小循環が上手くいかなくなると、太い血管にも影響がでてきたり、各臓器の新陳代謝も悪くなったりして、全身に様々な不調や病気が起こってきます。
例をあげると胃もたれ、胃潰瘍、便秘、下痢、シミ、肌荒れ、白髪、脱毛、むくみ、動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞、不整脈、高血圧、腎障害、易感染症、アレルギー、耳鳴り、頭痛、肩こり、腰痛、月経痛、月経不順、更年期障害、ドライシンドローム、ED、冷え症・・などがあります。
毛細血管は何歳からでも増やすことができます
加齢による毛細血管の減少と劣化は自然の流れでもあり、ある程度は避けられませんが、生活習慣を改めたり、適した漢方薬を飲んだりすることで、毛細血管の減少を最低限に留めて、弱っている血管を丈夫に健康な血管を作りかえることはできると考えます。
生活習慣では
・ストレスはこまめに発散しましょう
・十分な正しい睡眠をとりましょう
・血流をよくする適度な運動をしたり、シャワーだけでなく湯船に入りましょう
・バランスのとれた食事を心がけます。脂っこいもの、甘すぎるもの、冷たいもの、味の濃いものは摂りすぎないように注意しましょう。
漢方薬では
血液の流れが滞ってドロドロ状態のことを瘀血(おけつ)と言います。
この瘀血を改善する方法を活血化瘀(かっけつかお)と言い、活血化瘀する漢方薬があります。
活血化瘀薬の中には、微小循環を改善させることが研究によって分かっているものもあります。そのような漢方薬は瘀血の症状を治療するだけではなく、予防としても活躍してくれます。
西洋薬にも抗血小板薬や抗凝固薬といった血流をよくする薬がありますが、これらは主に太い血管に作用していると考えられています。
たしかにこれらの薬を飲んでいても肩こりや冷え症が改善することはないですよね。
しかし、活血化瘀薬を飲むと症状が改善していくのは、細い毛細血管にも作用するのでしょう。
*西洋薬と活血化瘀薬は併用できますが、漢方薬局などに相談してみましょう。
血管力を上げるポイント
『タップリ』、『イキイキ』、『サラサラ』
血液の量が豊富なこと
血液の質が良いこと
汚れや傷のない柔軟な血管
細い毛細血管までサラサラに
微小循環障害は誰にでもやがて出てくるもの
前述した通り、40歳代から毛細血管はだんだんと減っていき、それに伴い様々な不調も出やすくなります。
今は症状が出ていなくても、活血薬を飲んでおくことで微小循環がよくなり、多くの不調や病気を予防できるのではないのでしょうか。
体のすみずみまで栄養タップリの血を巡らせて、心身ともにスッキリ元気になりましょう。
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